その他の活動

「土香る会」は、メインとなる主な活動の他にも、様々な取り組みを行っています。

(1)視察研修旅行


 有島武郎縁の地、施設等を訪れ、視察研修を行っています。遠隔地を避け、ニセコ周辺を範囲に行ってきました。これまでの実施状況は、次の通りです。

① 2016年3月11日 木田金次郎美術館(岩内町)

岡部卓学芸員から1時間30分の講義を受け、そのあとで、展示されている絵を鑑賞しながら1時間30分にわたって絵の解説をしていただきました。参加者は7名でした。また、参加者は3月18日にも集まり、視察研修の感想などについて話し合いました。

木田金次郎美術館の前で

② 2017年3月11日 北海道開拓の村(江別市)

有島武郎の札幌農学校教師時代の居宅が保存されている北海道開拓の村を訪れました。開拓の村の細川健裕学芸員と、前川公美夫さんのガイドで、白官舎、有島武郎居宅、恵迪寮を見学しました。

北海道開拓の村

③ 2018年10月27日 有島農場内(ニセコ町)

未来会のコーディネートにより、有島農場内の史跡ポイントを巡るミニツアーを、会員による現地ガイド付きで行いました。6名の参加でした。普段あまり訪れることのない知られざるポイントとして、初代弥照神社跡、有島灌漑溝取水口、共同墓地、農業物理研究所跡、有島灌漑溝斜段を訪れました。予定していた旧真狩トンネル跡は、天候が不順のため中止しました。

共同墓地(ニセコ町)

④ 2019年10月12日 札幌芸術の森美術館敷地内有島武郎旧邸(札幌市)

札幌芸術の森美術館敷地内に移築された有島武郎旧邸を訪ねました。新居建設に当たり、武郎自身が設計構想を練ったらしく、永住するつもりだったそうです。参加者は4名でしたが、邸内では職員からの説明を聞きました。夜中に目を覚ましてぐずる息子を階段下にある外套掛けの袋戸に放りこんだとの記述がある作品『An Incident』を思い出して、この場所がそうではないかなどと話し合い、有意義な研修となりました。

(2)未来会

2017年度から始まったプロジェクトです。有島地区の望ましい環境についてみんなで考え、その創造に向けた取り組みを行います。フィールドワークとして、ニセコ駅から有島地区までのフットパス沿いに設置されている標識の再点検を行いました。
2018年度から2019年度にかけて、有島農場エリアを対象に地域資源の解説付きの地域資源分布マップ作りをしました。この成果を生かして、2018年度の視察研修旅行をコーディネートしました。
2019年度は前年の視察研修旅行で見学するはずだった「旧真狩トンネル跡」探索の再チャレンジを企画しましたが、再び悪天候により中止となってしまいました。

標識の再点検
有島農場地域資源マップ

(3)カフェ土香る「現代口承文芸」

有島地区に眠る記憶を現代の感覚で蘇らせ、古い記録をもとに新しい物語を紡ぐトークイベント「現代口承文芸」の第1回を、有島農場解放宣言の日である7月18日に近い土曜日、2018年7月21日に実施しました。『首落地蔵と悪ガキたち』の口演者は梅田滋さん。20余名の方が参加してくださいました。
第2回『葡萄は一房か』を、2019年7月20日に実施しました。口演者は井上剛さん。20名弱の方が参加してくださいました。
第3回についても、作品が寄せられています。コロナ禍が落ち着いたら実施予定です。

カフェ土香る「現代口承文芸」
井上剛さんによる「葡萄は一房か」の切り絵作品

(4)聞き書き調査

有島地域の昔の暮らしや出来事などについて、有島記念館との共同事業として地区の方から聞き書きをしています。土香る会以前からの活動で有島謝恩会会長の飯塚建造さん、土香る会として2016年度に行った亀田満吉さん、2017年度にお聞きした亀田トミコさん、2018年度に行った新沼正義さんの聞き書きを元に、記録を作成しています。(新沼正義さんの記録は編集中です。)

(5)書籍販売

「星座の会」より引き継いだ(著者等のご了解も得て)有島武郎関連の書籍を、有島記念館ロビーに展示し販売しています。これは、星座の会がこれまで制作発行してきた星座の会版元の書籍で、星座の会が書籍販売を通じて有島武郎の文学作品や思想、社会事業等への関心と理解を喚起することを目的に編集した貴重な文献となるものです。出版物の中には、すでに売り切れて絶版になったものもあり、また2020年度からはコロナ禍における書籍販売促進の目的から、一律半額での販売に切り替え、読者層の拡大を目指しています。売上金は、2020年度までは半分を土香る会の特別会計に組み入れ、半分を有島記念館に寄付していましたが、2021年度からは売り上げの全額を有島記念館に寄付しています。

販売図書の一覧

※販売価格は、有島記念館で購入の場合半額となります。

  • 「有島武郎とその農場・農団」高山亮二著1986 定価:630円→315円(有島記念館での購入価格)
  • 「星座」有島武郎著1989(品切れ) 
  • 「有島武郎のもう一つの死」1996高山亮二著(品切れ) 
  • 「カインの末裔」有島記念館編2003(品切れ) 
  • 「愛の書簡集」星座の会編2007 定価:1,200円→600円(有島記念館での購入価格)
  • 「札幌の家」 定価:1,000円→500円(有島記念館での購入価格)
  • 「ティルダ・ヘック来日日記」 定価:1,200円→600円(有島記念館での購入価格)
  • 「ティルダ・ヘック客人帳」 定価:1,260円→630円(有島記念館での購入価格)

(6)星座忌における献花

有島武郎が心中した1923年6月9日の直近の土曜日に、毎年「星座忌」を行っています。
かつては、星座の会、その後を継いだ土の香りの会が主催して挙行していましたが、2016年度からは有島記念館が主催して「星座忌」を実施し、土香る会も、ニセコ町長、ニセコ町議会議長と共に、会長が参列し献花をしています。

星座忌における献花

(7)会員に対するアンケート調査

このアンケート調査は、有島記念館の展示等運営に関する「土香る会」会員の多様な意見を、行政と住民の合意形成プロセスに反映させるために実施しました。

2019年度:テーマ「ニセコエクスプレス号の展示について」

(8)有島記念館の行催事情報の発信や支援活動

有島記念館が行う展示会やコンサートなどの企画展をメール等で会員に告知し、記念館の行催事への参加を呼びかけています。
また、有島記念館の折々の企画事業に対し、様々な形で寄贈・寄付などを行っています。

寄贈・寄付活動の概要

  1. 有島記念館が所蔵する各種資料のデジタルアーカイブ化事業を支援するため、2018年度にブックスキャナー(52,640円)を寄贈しました。(特別会計)
  2. 2019年度「有島武郎生誕140年・『生れ出づる悩み』出版100年」を記念する有島武郎と木田金次郎合同展を実施するための実行委員会に土香る会も参加し、7月18日、事業経費の一部として150,000円を土香る会から実行委員会に寄付しました。(特別会計)
  3. 星座の会より土香る会に寄贈された書籍出版物売上額から、2020年度までは1/2を、2021年度からは全額を有島記念館に寄付しています。(特別会計) 
  4. 毎会計年度に、10,000円+前年会費収入の10%(一般会計)を、有島記念館に寄付しています。(一般会計)

(9)有島謝恩会との交流

有島謝恩会が毎年行っている有島灌漑溝の泥上げ(5月)と草刈り(6月)、弥照神社の春祭り(3月)、秋祭り(9月)に参加しています。

有島灌漑溝草刈り
弥照神社直会

(10)その他

①会員証の発行

毎年度新たな会員証を発行することとし、デザインは有島武郎の作品などをモチーフにします。2016年度は「一房の葡萄」、2017年度は「或る女」、2018年度は「星座」、2019年度は「生れ出づる悩み」、2020年度は「卑怯者」、2021年度は「潮霧(ガス)」、2022年度と2023年度は「相互扶助」をもとにしました。絵を描いてくださった方は、金沢志乃さん、高木直良さん、井上剛さん、梅田滋さん、藤波ひとみさんです。

2024年会員証
2023年会員証
2022年会員証
2021年会員証
2020年会員証
2019年会員証
2018年会員証
2017年会員証
2016年会員証

②有島灌漑溝を考える

2023年は、有島武郎没後百年ですが、また、有島灌漑溝事件百年のセンテニアルでもあるのです。とは言っても、「有島灌漑溝って、何?」「有島灌漑溝事件って、何?」と疑問に思う方もいらっしゃると思います。

そこで、土香る会では、「有島灌漑溝」についてさまざまな切り口から認識を深めるため、有島灌漑溝に関連する投稿シリーズ「有島灌漑溝の百年を考える」を行います。

有島灌漑溝の百年を考える(1)

第1回目は、有島灌漑溝とは何か、そして有島灌漑溝事件とは何だったのか、についての概要史をお届けいたします。

有島灌漑溝の百年を考える(2)有島灌漑溝を下見する

第2回目は、有島灌漑溝の現場を下見したので、そのレポートをお届けいたしす。なぜ下見なのかについては、本文をご覧ください。

有島灌漑溝の百年を考える(3)島謝恩会会長飯塚健造さんに聞く

第3回目は、有島灌漑溝は有島地域にとってどのような存在なのか、そしてその機能を維持するためにどのような活動をしているのかについて、有島灌漑溝の管理者である有島謝恩会会長飯塚健造さんにお話をお聞きしましたので、ご紹介します。

なおこの内容は、土香る会の会報16号の特集を再掲載したものです。