農場解放百年記念の事業を行います

有島記念館所蔵のアーカイブ『狩太夜話』をデジタル発行します

敗戦後強制的に解散させられた「狩太共生農団」のそれまでの歴史について、昭和29年当時の狩太小学校教諭齋藤修二氏が、吉川銀之丞など有島農場・共生農団所縁の人から聞き書きした内容などを中心に、有島地区を含む当時のニセコの史実をめぐる調査結果を、全8輯の報告書にまとめたのが、『狩太夜話』です。これは、長らく有島記念館の所蔵庫に保管されたまま、一時高山亮二さんの有島研究に活用されたものの、一般の眼に触れることのできる状況にはありませんでした。

このたび、有島農場解放百年を記念して、土香る会では有島記念館の承諾と協力を得て、この記録内容を判読してテキストデータに落とし込む作業を、数名のプロジェクトチームを編成して担当してきました。

その結果、本年2023年3月31日に、この『狩太夜話(第1輯)』の書き下しデータを土香る会のホームページに掲載しました。
その後引き続き『狩太夜話(第2輯)』の書き下しテキストデータを完成させたので、公開することにしました。

『狩太夜話』(第3輯)
『狩太夜話』(第2輯)
『狩太夜話』(第1輯)

有島農場解放宣言に寄せられた感想文を発表します

有島農場解放宣言記念日の7月18日を締め切り期限に、解放宣言文への感想を広く募集していました。
4人の方と38人のニセコ中学校の生徒のみなさんから、感想文をお寄せいただきました。
問題意識と想いの込められた感想文に、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。

それぞれの感想文を読むことで、農場解放宣言の歴史的意義と今日の私たちにとっての意味について、様々な切り口から想いを深めることが出来ます。

有島武郎が解放宣言に託した想いをもとに今日のニセコを振り返り、「豊かさとは何か」と問いかけた感想文。
農場の共同経営に託した自然資源コモンズを、今日の私たちの目線で受け止めなおそうという感想文。
有島謝恩会ゆかりの人たちが残したこの地への限りない愛を受け止め、心から湧き出る共感を語る感想文。
そして、有島武郎が自分の農場を無償解放した歴史が自分のまちにあったことに驚き、その意味を真剣に考えようとしている中学生たちの感想文。
どれも、読む私たちの胸を打つものばかりです。

これらの感想文を読むことを通じて、有島武郎が農場解放に託した想いを、現在の私たちの状況に重ねて受け止め直したいと思います。

感想文を寄せてくださった方々は、次の通りです。
それぞれのお名前のところをクリックすると、それぞれの感想文を読むことができます。(お名前の順序は、概ね五十音順です)

(お名前の順序は、概ね五十音順です)

1 今泉明さん

2 小野亮子さん

3 下田伸一さん

4 日向敦子さん

5 ニセコ中学校の生徒のみなさん

デジタルアーカイブ「白水会記録会計」を公開します

有島農場解放100年記念事業として進めてきた、
デジタルアーカイブ事業2件のうち1件について、リリースします。
「テキスト版白水会記録会計」です。

岩内町郷土館が所蔵している史料、
大正から昭和にかけての「白水会記録会計」(佐藤弥十郎著)について、
岩内町郷土館の許可を得て、土香る会の会員数名と地元の研究者によって(関わった方の氏名は最終ページに記載)原本の複写とテキストデータ化作業を行ったものを、一般に公開するものです。

この「白水会」というのは、
有島武郎が1922.7.18に農場解放宣言を行うために狩太に来た折、
木田金次郎に誘われて、その前々日から前日にかけて岩内を訪れ、
当時岩内の知識人たちに絶大な人気を誇っていた有島武郎を大歓迎する講演会などが催され、心の交流が行われたことを記念して、
地元の若い人たちが作ったグループです。
それが、1922.7.17、つまり、農場解放宣言の前日でした。
以降、白水会は岩内町の文化活動の先鋭的な活動を牽引していったのです。
「白水」というのは、有島武郎の個人雑誌「泉」の文字を二つに分けた命名です。

この資料には、興味深い史実がいくつも記録されていて、
有島武郎と岩内の精神的紐帯が、彼の死後も続いたことを感じさせる第一次資料だと思います。

「テキスト版白水会記録会計」は、こちらで見ることができます。

【講演は延期となりました】農場解放百年記念の講演会を行います

※8月7日(土)に予定していた、斎藤幸平さんの講演会とインタビュートークが、延期となりました。

関係者の間にコロナ感染の陽性反応が出たことにより、協議した結果、安全対策の観点から当面延期することとなりました。

状況の推移を見ながら、斎藤さんとご相談の上、改めて日程を調整したいと考えています。
今回は、参加予定をご検討してくださっていた方にはご迷惑をおかけしますが、決まりましたら、このサイト上、および、各種メディアにて改めてご案内致しますので、ぜひご参加をお願いいたします。


有島農場解放100年を記念する事業の一環として、『人新世の「資本論」』の著者斎藤幸平氏をニセコ町にお迎えして、記念講演会を開催します。

●日時:2022年8月7日(日)午後2時〜4時
●場所:ニセコ町民センター1F大ホール
●形態:講演会とインタビュートーク
●講師:斎藤幸平氏(『人新世の「資本論」』『大洪水の前に』の著者)
●入場無料・予約不要

『人新世の「資本論」』には、資本主義経済社会の限界を超えていく「コモンと相互扶助」は市民・住民が主体となって創出していくものであり、それは地域における脱成長コミュニティをベースにした相互信頼の関係からしか創造できない、とあります。

講演の中では、この『人新世の「資本論」』の観点から、人新世のニセコ地域で「コモンズと相互扶助」による脱成長コミュニティを目指すために、住民はどのような世界認識を得る必要があるのか、その認識に基づいてどのような実践活動が求められるのか、お話しいただきます。

また、講演後のインタビュートークでは、有島武郎が農場の解放宣言の中で告た「コモンズと相互扶助」の理念が、狩太共生農団25年間の実践活動の中でどのような成果と課題を残したのか、その歴史的遺産の総括を含めて、斎藤幸平氏のお話をより深く理解するためのトークを行います。

脱成長時代を主体的に生き抜く地域づくりに向けて、斎藤幸平氏と共に考えるhとときを共有したいと思います。
ぜひ、皆さんもご参加ください。

概要のフライヤーは、こちらです。

あそぶっくで、「有島農場解放百年」の展示コーナー開設

ニセコ町の「あそぶっく」に、「有島農場解放百年」を記念する特別展示コーナーが開設されました。
有島農場の無償解放をもたらした有島武郎の思想や時代背景、解放後の狩太共生農団の運営の推移など、さまざまな観点について、文献資料やパネル解説などがゆったりとした雰囲気の中に展示されています。
展示企画にあたっては、土香る会も協力しました。

また、有島武郎と親しい交流を続け、農場解放宣言の直前に有島武郎を岩内に誘った木田金次郎との交友を紹介するコーナーや、有島武郎の作品を紹介するコーナーなど、ニセコと密接な関わりを持っていた有島武郎について、改めて振り返ることができます。
展示してある本も借りられるそうです。

展示コーナーは、有島農場の解放記念日である7月28日(木)までです。

展示コーナーの様子は、こちらです。

有島農場解放宣言文を読んで、感想を書こう

有島農場解放百年記念事業の一環として、「有島農場解放宣言文を読んで、感想文を書こう」という事業が、始まりました。

参加を呼びかけるチラシを、ニセコ町全世帯配布を目標に、新聞への折り込みと「広報ニセコ」への折り込みを中心に、町内外各所にお届けしています。

このチラシに、「宣言文」全文を掲載しています。
また、感想文応募に関するいくつかの事項についても記しています。
このチラシを掲載致します。
町内外のどなたでも応募できますので、ご参加ください。

「チラシ」は、こちらから見れます。

有島農場解放百年記念事業2022

2022(令和4)年は、有島武郎が狩太村(当時)に所有していた有島農場を小作人たちに無償解放してから、百年目にあたります。

1922(大正11)年7月18日、弥照神社に集まった有島第一、第二農場の全小作人六十余人を前に、有島武郎は、農民が「合同してこの土地全体を共有する」(農場解放記念碑文より)ことを条件に無償で解放すると、宣言しました。

<コモンズと相互扶助>を精神とする有島武郎の農場解放は、当時の社会や思想界に大きな衝撃を与え、その後の歴史の中で時代に先駆けた影響を与え続け、脱成長時代を迎えた現代におけるまちづくりの指針として改めて脚光を浴びています。

「土香る会」では、この大きな歴史的事蹟を記念して、「有島農場無償解放百年記念事業2022」を企画し、実施していくこととしました。

その事業概要について、ご紹介します。